長い書き損じ

「あーっ。」と、ね。

閉区間で連続な関数は有界であること

追記(2016/09/27)
やっぱり間違ってました
なんとか修正に挑戦します。
証明以降は間違ってるので読まないでください


追記(2016/10/06)
どこが間違っているのか、数日前に判明したので修正しました。
「間違った証明」というのはある意味重要な価値を持っていると思うのであえてこのまま残し、
間違っている箇所についてのみ注を入れておきます。
証明できたと勘違いするということはそこに本質的な理解の誤りや漏れがあるとわかるので、
僕以外にもそのような抜けがあることを信じて伝えます。


こんにちは。
数学のことを書きます。(Twitterの数学徒向けのような面白い記事ではないが、一般の人向けでもない。とは言っても途中までは面白く書くつもりなので読んでもらえると嬉しい。)

タイトルにもあるように、閉区間で連続な関数は有界であるというのは一般常識なわけですが、
いくつかの参考書やサイトを見たところ(と言ってもほんとに少しですが)、なんかややこしい(背理法を使った)証明の仕方をしていると感じました。

この命題は一般常識であるし、実際、解析学のかなり根底にある最大値・最小値の定理を示すのに使われているので、そのようなややこしい証明をしている場合ではない。

ちなみに、最大値・最小値の定理というのは"連続な関数には最大値と最小値がある(厳密には閉区間上で)"という定理で、更に直観に訴えるように言うと、
「なんか線を繋げて書いたら一番高いところか一番低いところがあるでしょ」
ということです。

このような直観的なことも数学では厳密に証明することができる(というかそのように作られている)というのが数学の良いところの一つですね。実際に最大値・最小値の定理は高校数学にでてくる平均値の定理の厳密な証明を与えてくれるのでとても嬉しいです。

というわけで、自分なりにわかりやすいと思った証明を書くので間違っていたり、どこかに載っていたりしたら教えてください。


わかる人のためにわかりやすくいうと、ε-N論法を用いた「収束数列は有界数列である」ことの証明をパクっただけです。
そのため、ε-Nやε-δの使い方がイマイチわかってない人のためにもなるのかなあと思います。


ここからはε-δ論法などの知識を有しますが、定義などはしていきますし、
「まあ、そういうもんなんだな」と思って読み進めることもできますので健常者の方も気が向いたら頭の体操だと思って深淵に足を踏み入れてみてください。

なんか上手くtex記法使えない。使えた使えない

本題

定理{}
区間\(D=[a,b]\)で定義されている連続な関数\(f(x):[a,b]\to\mathbb{R}\)は有界である.

ここでいくつかわからない単語があると思うので定義します。定義していないけどわからない場合は調べるか聞いてください。

区間[a,b]はa~bの範囲だよってことです。端の点a,bも含む範囲です\((a\leq x \leq b)\)。

有界とは、これより大きくなれないよ~、とかこれより小さくなれないよ~という値が存在することです。
つまり、限りなく大きくなれない、この値より大きくなれないという値があるってことです。
例えば、人間はたぶん300歳までは生きないと思うので人間の年齢という関数は上に有界です。
また、人間は必ず0歳以上なのでマイナスにもなりません。下にも有界です。
このようなとき、人間の年齢は有界だと言います。
(ある一つの数字(例えば300)を使って、有界と言いたいので次のように定義します)

定義(有界)
ある関数\(f(x)\)が有界であるとは,
ある正の定数\(M\)が存在して, すべての\(x\)で\(|f(x)|< M\)をみたすということである.

-300<人間の年齢<300ってこと

ついでに細かいことですが、
補題
\(|f(x)|< M\Rightarrow |f(x)|\leq M\)


\(|f(x)|\leq M \Leftrightarrow |f(x)|< M\text{ または }|f(x)|= M\)ということなので明らか.

連続であるとは、繋がってるってことです。どっかでプチっと切れてないってことです。
どっかで切れてたら不連続と言います。連続というのはつまりアナログってことです。

定義(連続関数)
ある関数\(f(x)\)が\(D\)で連続であるとは,
その\(D\)に属するすべての点で\(f(x)\)が連続であるということである.

ある点\(x_0\)で\(f(x)\)が連続であるとは,
\(x\)を限りなく\(x_0\)に近づけたときに\(f(x)\)が\(f(x_0)\)に限りなく近づくということである.

これを高校数学の記号では
\[
\lim_{x\to x_0}f(x)=f(x_0)
\]
と表した.

これを更に厳密に書くと,
\[
\forall \varepsilon >0 , \exists \delta >0 \text{ s.t. } |x-x_0|<\delta \Rightarrow |f(x)-f(x_0)|<\varepsilon
\]

となる.

この記事はイプシロンデルタ論法の解説ではないので細かくは言わないが、
上の式の意味は
「すべての正のεについて、あるδが存在して、そのδは\(|x-x_0|<\delta \Rightarrow |f(x)-f(x_0)|<\varepsilon\)をみたす」
と言っています。s.t.はsuch that の略です。

依存関係を表すために関数のように\(\delta(\varepsilon)\)なんて書いたりもします。


これで準備が終わりました。

証明

示したいことは色々省いて言えば「連続な関数は有界である」ことです。
区間\(D\)で連続な関数\(f(x)\)は定義通り以下のように書けます。

\[
\forall x_0 \in D, \forall \varepsilon >0 , \exists \delta >0 \text{ s.t. } |x-x_0|<\delta \Rightarrow |f(x)-f(x_0)|<\varepsilon
\]

すべての\(D\)の点で連続ということです。
すべての点で連続ならもちろんある点\(x_0\)でも連続です。

このとき、\(|f(x)| < M \)となるような\(M\)があることを言えば良いわけですが、

さて、s.t.以降の式に注目して変形してみます。

\[\begin{align}
| x-x_0 | < \delta &\Rightarrow |f(x)-f(x_0)|< \varepsilon \\
&\downarrow \\
x_0 -\delta < x < x_0 +\delta &\Rightarrow f(x_0)-\varepsilon < f(x)< f(x_0)+\varepsilon \\
&\downarrow \\
x\in(x_0-\delta ,x_0 +\delta) &\Rightarrow f(x_0)-\varepsilon < f(x)< f(x_0)+\varepsilon
\end{align}\]

\(f(x)\)がこれより大きくなれない~~な値を発見しました。
ここで\(\varepsilon\)はどんな値でも(正の実数であれば)良かったので、例えば\(1\)とします。
すると、すべての\(\varepsilon\)について上のような式をみたす\(\delta\)が存在するので、もちろん\(\varepsilon=1\)のときも\(\delta\)が存在します。
その\(\delta\)をわかりやすく\(\delta_1\)とでもおきましょう。

有界の定義通り、\(\Rightarrow\)の右側(結論)を絶対値で括りたいので\(|f(x_0)+1|\)と\(|f(x_0)-1|\)で大きいほうを\(M\)とおきます

以上のことをまとめると、
\(f(x)\)が点\(x_0\)で連続ならば
\[
x\in(x_0-\delta_1 ,x_0 +\delta_1) \Rightarrow |f(x)|< M=\max(|f(x_0)-1|,|f(x_0)+1|)
\]と言えました。

つまり、ある点で連続なら、その近く(半径\(\delta_1\)くらいの範囲)にあるすべての点で\(f(x)\)は有界である、
と言えました。

今、\(x_0\)に特に制限は設けていないので、\(D\)に属しているすべての\(x_0\)で上のことが成り立ちます。

もちろん、区間の端にある\(a,b\)についても成り立ちます。
\(x_0=a,b\)とすれば
\[
x\in(a-\delta_a ,a +\delta_a) \Rightarrow f(a)-\varepsilon_a < f(x)< f(a)+\varepsilon_a \\
x\in(b-\delta_b ,b +\delta_b) \Rightarrow f(b)-\varepsilon_b < f(x)< f(b)+\varepsilon_b
\]となります。
他と同じ\(\delta\)を使っていては紛らわしいので、\(a\), \(b\)それぞれのときに固定した\(\varepsilon\)を\(\varepsilon_a\), \(\varepsilon_b\)、またそのときの\(\delta\)を同様に\(\delta_a\), \(\delta_b\)にしておきました。
もちろん、どちらのときも有界ですし、\(D\)に属する\(x_0\)すべての場合のときに有界です。先ほどは各\(x_0\)のときに\(|f(x_0)+\varepsilon|\)と\(|f(x_0)-\varepsilon|\)で大きいほうを\(M\)とおきましたが、今までおいた\(M\)の中で一番大きいものを新たに\(M\)と置きなおせば、その\(M\)で\(f(x)\)を挟むことができます(有界であることをきちんと言えます)。
具体的に書くなら\(M=\max(|f(D)|)+\varepsilon\)とでもしておけばよいでしょう。

↑ここが間違いです。有限の集合の元からは最大な元を取ってくることは可能ですが、今回の場合は有限の集合ではないので不可能です。
確かに、閉領域上連続な関数は最大値をもちますが、最大値をもつということを証明するために有界であることを示す必要があるので、上記の理論を認めてしまうと、
連続関数が最大値または最小値を持つ場合有界である、といったある種自明な結論になってしまいます。なので、\(M=\max(|f(D)|)+\varepsilon\)を取ることは"まだ"できません。逆にそれが可能であるときには既に証明が終わっています。


以上のことから、
区間*1\((a-\delta_a,b+\delta_b)\)に属するすべての点\(x\)で\(f(x)\)は有界
つまり、
\[
\forall x\in(a-\delta_a,b+\delta_b), |f(x)|< M
\]となります。
また、この開区間は元の閉区間\(D\)よりも広くなっています。つまり、\(D\subset(a-\delta_a,b+\delta)\)です。
\(D\)よりも広い範囲で有界であることがわかっているのでもちろん\(D\)でも有界です。

よって,
区間\(D=[a,b]\)で定義されている連続な関数\(f(x):[a,b]\to\mathbb{R}\)は有界である.

ることは示せません.

(証明終わり)


背理法を使って新たな数列を導入して~、ワイエルシュトラスが~~、みたいなのよりは(僕は)わかりやすいと思うのですがどうでしょうか。

間違ってたら恥ずかしいので至急教えてください。


また、同様の議論で一部の開区間が連続であることも言えません。

*1:区間と違って端の点を含まない区間のこと